薬剤師の気ままブログ

精神科門前の管理薬剤師。勉強したことの備忘録(薬や病気)やたまに趣味などについて気の向くままに書いていきます。

ロゼレム(ラメルテオン)での眠気持ち越し

そもそも薬理作用が違うとかそういう話はさておき、ロゼレム(ラメルテオン)はベンゾジアゼピンなどと比較して、睡眠薬としてはかなり軽めの印象があります。あくまでざっくりとしたイメージの話です。

睡眠薬なので当然なのですが、服用翌日の眠気持ち越しの訴えがたまにあります。添付文書の副作用報告にも傾眠(1.2%)、眠気(0.1~5%未満)の記載があります。

ただ、経験的にそれほど切れ味のない効果の軽いイメージと、短い半減期(約1時間)から、眠気の持ち越しは副作用というよりは体調的な影響が大きいのかなと勝手に思っていました。うつ状態では症状として起床困難や活動性の低下による日中の眠気があったり、回復初期にはそれまでの睡眠不足を補うための過眠の時期があったりしますしね。あとはそもそも生活リズムが乱れていたり、睡眠時間が十分確保されていなければ、日中すっきり起きていられるはずがないです。

上記のように思っていたのですが、文献1を読んでから、ロゼレムの眠気は理論的にも起こり得るのかもしれないと思うようになりました。

 

文献1と同じように計算してみます。

人生におけるメラトニン分泌のピークは小児期の100pg/mL程度で、さらに加齢により低下していきます。ラメルテオン8mgを服用した時、ラメルテオンの最大血中濃度は1410pg/mL、活性代謝物M-Ⅱは63000pg/mLとなりますが、これは生理的なメラトニン分泌を100pg/mLと仮定したとしても、それぞれMT2受容体への作用は約238倍、約380倍となります*。

メラトニンのMT2受容体へのIC50は904、ラメルテオンは53.4なのでアゴニスト作用は約16.9倍、M-Ⅱのアゴニスト活性はラメルテオンの1/28(文献2)として計算した場合

 

半減期は短くラメルテオンが約1時間、M-Ⅱが約2時間ですが、服用から13時間経過後でもM-Ⅱの血中濃度は約984pg/mL*と高く、小児期のメラトニンのピークの約6倍の作用が残っています。

Tmaxは服用1時間後で、そこから半減期の6倍経過したと考えて計算した場合

 

ロゼレム8mgを1錠内服した場合、生理的なメラトニン活性を遥かに超える薬理作用が日中も残ることとなります。これを考えると、ロゼレムでの眠気持ち越しの訴えも妥当かもしれません。

 

参考文献

  1. https://team.tokyo-med.ac.jp/omh/news/dsps-mel/
  2. ロゼレム錠インタビューフォーム