薬剤師の気ままブログ

精神科門前の管理薬剤師。勉強したことの備忘録(薬や病気)やたまに趣味などについて気の向くままに書いていきます。

マイスリー(ゾルピデム)についてのまとめ

 

特徴

  • マイスリー(Myslee)…My Sleepから
  • Z-drugと呼ばれる非ベンゾジアゼピン
  • 一般的にはふらつき、転倒リスクが低いとされる(が、実際はZ-drugも転倒リスクを増加させる2)
  • Tmax:1時間(30分~1時間)
  • T1/2:2時間(1~3時間)
  • 用量:高齢者は5mgから開始。最大10mg
  • 禁忌:重篤な肝障害(Cmax↑、AUC↑)、重症筋無力症、急性閉塞隅角緑内障、睡眠随伴症状
  • 警告:もうろう状態、睡眠随伴症状、一過性前向性健忘
  • 統合失調症、双極性感情障害に伴う不眠には適応外(ニトラゼパムに対する非劣勢を証明できなかった3)

 

経験的に

オレキシン系の薬剤は効果に大きな個人差があるが、ベンゾジアゼピン系の薬剤は比較的一様に切れ味よく効く印象がある。

夢遊症状等の睡眠随伴症状は、総処方患者数を考えると頻度は非常に低いが、超短時間作用型の中ではゾルピデムが圧倒的に多い印象がある。具体的な症状は、夜中にふらふら徘徊してコンビニに行ってしまったり、夜中に無意識で食事をしているのを家族に発見されたり、翌朝自分で食べた残骸を発見したり。

ベンゾジアゼピン緑内障への禁忌は薬剤師の間では有名だが、現実的には開放隅角が大部分を閉めており、臨床上問題とならないことが多い。国家試験でよく出題されることもあって、薬剤師はベンゾジアゼピン緑内障→禁忌!という認識が強すぎるかもしれない。

ゾルピデム統合失調症と双極性感情障害に伴う不眠には適応外であり、保険査定を受ける可能性がある、という背景からやや使いにくい。今後はゾルピデム自身での睡眠随伴症状の既往も禁忌に追加されることとなり、更に使いにくくなる。日数制限、禁忌、適応症の観点からエスゾピクロンの優位性がどんどん上がっている。

 

あくまで個人的な経験と主観です。

 

sigh56.hatenablog.com

 

2022.8.15

 

参考文献

  1. マイスリー錠 インタビューフォーム
  2. Benzodiazepines, Z-drugs and the risk of hip fracture: A systematic review and meta-analysis(PLoS One. 2017 Apr 27;12(4):e0174730.doi: 10.1371/journal.pone.0174730.)
  3. 臨床医薬.9(1):107-136,(1993)