薬剤師の気ままブログ

精神科門前の管理薬剤師。勉強したことの備忘録(薬や病気)やたまに趣味などについて気の向くままに書いていきます。

夏季の脱水による腎機能低下(論文)

今回読んだ論文

Seasonal variation in estimated glomerular filtration rate based on serum creatinine levels in hypertensive patients(Tohoku J Exp Med. 2011 Jun;224(2):137-42.doi: 10.1620/tjem.224.137. PMID: 21617334)

 

高血圧患者の季節間のeGFRを比較した論文です。

P1:慢性腎臓病(CKD eGFR < 60 mL/min/1.73 m(2))を伴う高血圧患者(76 ± 8歳)55人

eGFRの平均値は

春(3~5月) 43.0 ± 14.0 mL/min/1.73 m(2)

夏(6~8月) 37.2 ± 13.0 mL/min/1.73 m(2)

秋(9~11月)  41.5 ± 13.9 mL/min/1.73 m(2)

冬(12~2月)  42.5 ± 14.2 mL/min/1.73 m(2)

 

eGFR夏-eGFR春:-5.8 ± 5.2 mL/min/1.73 m(2)

春→夏によるeGFRの減少率:-13.8 ± 9.4 %

春→夏、冬→夏はp<0.05で有意に減少

 

P2:慢性腎臓病を伴わない (eGFR ≥ 60 mL/min/1.73 m(2))高血圧患者(69 ± 11歳)47人

eGFRの平均値は

春(3~5月) 77.9 ± 13.0 mL/min/1.73 m(2)

夏(6~8月) 71.8 ± 13.2 mL/min/1.73 m(2)

秋(9~11月)  76.2 ± 13.0 mL/min/1.73 m(2)

冬(12~2月)  76.4 ± 12.8 mL/min/1.73 m(2)

 

eGFR夏-eGFR春:-6.1 ± 7.0mL/min/1.73 m(2)

春→夏によるeGFRの減少率:-7.7 ± 8.3 %

春→夏はp<0.05で有意に減少

 

感想考察

夏場のeGFR低下は実際の外来でも経験があり、Drからも水分摂取の指導がなされていました。季節間で有意差がついているものは少ないですが、CKD有り無しに関わらず夏はeGFRが低下する傾向が見られています。データを参考とすると5~15程度低下するようです。高齢者、腎機能低下リスクのある薬剤(RAS系阻害薬など)、腎機能低下に注意が必要な薬剤(リチウムなど)を服用している患者に対しては、既往歴にもよりますが、薬局でも水分摂取を促すことは重要でしょう。