薬剤師の気ままブログ

精神科門前の管理薬剤師。勉強したことの備忘録(薬や病気)やたまに趣味などについて気の向くままに書いていきます。

「家計が値上げを受け入れている」発言とインフレに強い資産、弱い資産

2022年6月6日、日本銀行の黒田総裁が「日本の家計の値上げ許容度も高まってきている」と発言してTwitterなどが炎上していました。この言葉だけを聞くと、私の目線からも苛立ちを感じます。国民の生活感覚とズレすぎてますからね。まして高給取りの立場からこんなことを言われると、「上級国民には庶民の気持ちはわからないんですね?」と思われても仕方がないと思います。ただしメディアは視聴率を稼ぐため、注目を浴びそうな発言を意図的に切り取って炎上させることも多いので、実際はどうだったのかなとも思います。

この発言の根拠となったのは東京大学大学院の渡辺努教授らによる「5か国の家計を対象としたインフレ予想調査」(2022年5月実施分)のようです。「いつも行くスーパーで買う物の値段が10%上がったらどうするか」という問いに対し、2021年8月は「そのままその店で買う」が43%、「違う店に変える」が57%でしたが、2022年4月では「そのままその店で買う」が56%、「違う店に変える」が44%でした。「違う店に変える」の割合が13%減少しており、「そのままその店で買う」人の割合が過半数を越えていることから、「日本の家計の値上げ耐性が高まった」と結論付けています。

炎上したのでこの発言は撤回されていますが、日本国民の値上げ耐性が上がったと読み取れるデータが出てしまったので、政府としては今後インフレに舵を取って行く可能性が高い状況となっています。

なので自分の資産を守るため、インフレに強い資産、弱い資産をまとめていきたいと思います。

 

 

インフレに強い資産

金は実物その物に価値があり、しかもその価値は世界共通です。インフレによってお金の価値が下がり、たとえ札束が紙切れになったとしても金の価値は変わりません。株式や紙幣は発行体が破産すると価値がなくなりますが、金は現物があるので無価値にはなりません。現物がある安心感から、戦争など世の中が混乱した時に人気が出て価格が上昇する傾向があり、「有事の金」と呼ばれます。

金に投資をする方法は、延べ棒や金貨を実際に購入する「現物購入」の他、投資信託ETFにより間接的に保有する方法があります。

 

不動産

不動産も現物であるためインフレに強い傾向があります。物の値段が上がる時は物を持っている方が得ということです。さらにエネルギーや原材料の価格も上がるため建築費が上がり、不動産現物の物価上昇とともにダブルで不動産価格の上昇に寄与します。

不動産の現物を所有し資産とするにはそれなりの資金が必要ですが、こちらも金と同じように投資信託ETFによって少額から、間接的に保有することができます。

 

株式

インフレにより企業が生産する製品やサービスの価格が上昇し、業績が良くなるためインフレに強いと言われています。ただし金融緩和→株価上昇→景気回復→インフレ→金融引き締め→株価下落→不景気→デフレ→金融緩和…といった典型的なサイクルも指摘されており、利上げ局面では注意が必要とされています。

 

外貨

インフレから資産を守るために外貨に投資することは有効とされています。インフレにより日本円の価値が下がると、相対的に外貨の価値が上昇します。

 

インフレに弱い資産

現金・預貯金

インフレに弱い資産の代表となっています。手元のお金の絶対的な金額は変わりませんが、インフレ=物価が上がると物を買うために払うお金が増え、相対的にお金の価値が下がります。

貯金についても金利が0.001%などと非常に低いため、インフレ率と戦うと負けてしまい、相対的に価値が下がります。

インフレ時に資産を現金や貯金のまま放置していると、相対的に価値が下がり資産が目減りしていきます。

 

債券

債券もインフレに弱い資産です。債券は一般的にローリスクローリターンですが、ただでさえ低いリターンがインフレによる物価上昇でさらに相対的に削れてしまいます。

また、株式はインフレにより利益の上昇が期待できますが、債券は利益が増えないこともインフレに弱い1つの要因となっています。利率はお金を貸した時に設定されるものであり、その後インフレになったからといって利息が増えることは基本的にはないからです。

さらに、インフレ時には物価上昇を抑えるために政策金利を上昇する傾向があります。債券価格は金利と逆の値動きをするため、政策上も債券には逆風となっています。

 

貯蓄型保険

定期的な支払いを行って不足の事態に備えることに加え、積み立てによる貯蓄としての機能も備わった「貯蓄型保険」もインフレに弱い傾向があります。昔の貯蓄型保険では返戻率が100%を越えるものもありますが、近年は基本的に100%を切っており、さらにインフレ時は貨幣の価値が下がっているからです。積み立てたお金を受けとる時にはその価値は目減りしています。100%以上の返戻率であっても、インフレによる物価上昇分を越えるほどではないと思われます。

 

参考文献

  1. 「5か国の家計を対象としたインフレ予想調査」(2022年5月実施分)の結果
  2. トウシル インフレと株式投資の関係を整理する 山崎 元