薬剤師の気ままブログ

精神科門前の管理薬剤師。勉強したことの備忘録(薬や病気)やたまに趣味などについて気の向くままに書いていきます。

左室駆出率(LVEF)に基づく心不全の分類

私が大学生の時はまだ左室駆出率による心不全の分類は一般的ではなく、心不全の分類はNYHAが主でした。薬剤師として働き始め、しかも内科に関わらなくなってからヘフペフとかヘフレフとか急に言われ、似たようなアルファベット並べられてもよくわかりません。なので一度整理することにします。

 

 

左室駆出率(LVEF)とは

左室駆出率とは心室収縮機能の指標。左室なので心臓のポンプ機能を表す。略はLVEF(Left Ventricle Ejection Fraction)。

心エコー、SPECT、MRIなどで計測することができるが、計測法によりばらつきが出る可能性が示唆されている(1)。また後負荷の影響を強く受けるため、LVEFだけで心室収縮機能を正確に評価はできない。

LVEFは予後の予測に用いることができるが、経過は併存疾患(糖尿病など)にも左右されるため(2)、LVEF単独での予後予測には限界がある。

計算式は下記

LVEF

=(拡張末期容積-収縮末期容積)÷拡張末期容積×100

=1回心拍出量÷拡張末期容積×100

 

LVEFによる分類(発症時)

HFrEF

LVEFの低下した心不全(heart failure with reduced ejection fraction)のこと。読み方はヘフレフ。reducedなので低下、は覚えやすい。日本のガイドラインではLVEF40%未満がHFrEF。

 

HFmrEF

LVEFが軽度低下した心不全(heart failure with mid-range ejection fraction)。読み方はヘフムレフではなくミッドレンジ。rがreducedだったらもっと覚えやすかったかなと思ったけど、境界域という意味でのミッドレンジならイメージしやすいかな。

LVEFは40%以上50%未満。2016年5月に欧州心臓病学会が発表した心不全ガイドラインで新たに加えられた概念。予後に関してなどはまだ研究が不十分。

 

HFpEF

LVEFの保たれた心不全(heart failure with preserved ejection fraction)。pはプリザーブドから。読み方はヘフペフ。定義はLVEF50%以上。有効な治療法が十分に確立されていない。

 

LVEFによる分類(経時的な評価)

LVEFはその時その時で値が変わるもの。時間経過や治療によるLVEFの変化による分類もされている。

 

HFrecEF

LVEFが改善した心不全(heart failure with recovered ejection fraction)。recはrecoveredから。比較的覚えやすい。読み方はリカバード?

治療によってHFrEF→HFmrEF・HFpEF、HFmrEF→HFpEFとなるパターン。予後は比較的良好とされている。

 

HFworEF

LVEFが悪化した心不全(heart failure with worsened ejection fraction)。worはworsenedから。アルファベットがごちゃごちゃ並んでいても、きちんと分解して整理すれば全部理解しやすいのかもしれない。HFworEFは予後不良とされる。

 

HFuncEF

LVEFが変化しない心不全(heart failure with unchanged ejection fraction)。uncはunchangedから。HFpEFの60~90%、HFrEFの60~80%、HFmrEFの30~40%がHFuncEF(変化なし)とされる。HFmrEFはそもそも該当するLVEFのレンジが短く、またLVEFの測定には誤差が大きいため、分類が変化したように見えるのではという意見もある。

 

 

 

参考文献

  1. Variability in Ejection Fraction Measured By Echocardiography, Gated Single-Photon Emission Computed Tomography, and Cardiac Magnetic Resonance in Patients With Coronary Artery Disease and Left Ventricular Dysfunction(JAMA Netw Open. 2018 Aug 3;1(4):e181456.doi: 10.1001/jamanetworkopen.2018.1456. PMID: 30646130)
  2. Beyond ejection fraction: an integrative approach for assessment of cardiac structure and function in heart failure(Eur Heart J. 2016 Jun 1;37(21):1642-50.doi: 10.1093/eurheartj/ehv510. Epub 2015 Sep 28. PMID: 26417058)
  3. 2021年JCS/JHFSガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療