薬剤師の気ままブログ

精神科門前の管理薬剤師。勉強したことの備忘録(薬や病気)やたまに趣味などについて気の向くままに書いていきます。

精神科領域の医師国家試験を解いて典型症例を学ぶ

興味が湧いたので医師国家試験を解いてみることにします。薬剤師は精神科の症例を見ることがあまりないので、新鮮で良い勉強になりそうです。

あくまで薬剤師が興味本位で解いてみるだけなので、医学生の方が参考にするのは全くお勧めしません。

 

 

110A42

3歳の男児。言葉が出ないことを主訴に両親に連れられて来院した。運動発達に問題はなかったが、言葉が出てこなかった。診察室では、視線は合わず動き回り、体を前後に揺らし、回転することが多い。積み木を見つけて遊び始めると、集中して1列に並べ始め、親の呼びかけにも振り向かない。運動発達に遅れはなく、聴覚障害の所見は認めない。

この疾患について正しいのはどれか。

a. 偏食はまれである。

b. 言葉の理解は良い。

c. 両親の養育態度が原因である。

d. 症状が出そろうのは青年期である。

e. 自分の意思を伝達することに障害がある。

 

 

言葉が出ないのは運動発達の問題でないこと、呼びかけに反応しないのは聴覚の問題でないことが問題文で示されています。視線が合わない、呼びかけにも反応せずコミュニケーションの障害が見られます。体を揺らし、回転するのは常同行動?積み木は一般的には一列に並べて遊ぶものではなく、独特でこだわりが強い。これらからASD(自閉スペクトラム症)が疑われます。

ASDでは感覚の過敏性があり、偏食はまれではありません。原因は育て方ではなく、脳の異常とされています。正解はeでしょう。

 

 

110D15

抜毛症(抜毛癖)について正しいのはどれか。2つ選べ。

a. 抜毛は頭髪が最も多い。

b. 円形脱毛症に分類される。

c. 診断は視診で可能である。

d. 抗精神病薬が有効である。

e. 成人期発症例は予後良好である。

 

a、d(誤)→正解はa、cでした。

こういうタイプの疾患には抗精神病薬かなと思いましたが、国家試験的な正解ではなかったですね。第一選択は認知行動療法のようです。実際はSSRIクロミプラミンなどの抗うつ薬や、オランザピンなどの抗精神病薬が有効との報告はあるようです。手の届きやすい部位の毛を抜きやすいので頭髪に多く、まばらに抜くので円形にはならないとのこと。

 

 

110D44

23歳の男性。行動の異常を心配した家族に連れられて来院した。6か月前に大学を卒業し就職した。3か月前から遅刻が目立つようになり、休みがちとなった。1か月前からは、1日中自室に閉じこもるようになった。1週前から誰かと話しているような独り言がみられ、さらに「誰かに見張られている」「数人が自分の悪口を言い合っている」とおびえるようになった。夜間眠らず、部屋の中を動き回るようになったため家族に連れられて受診した。

意識は清明。神経学的所見に異常を認めない。血液生化学所見に異常を認めない。

治療薬として適切なのはどれか。

a. バルプロ酸

b. クロナゼパム

c. リスペリドン

d. カルバマゼピン

e. フルボキサミン

 

→注察妄想、幻聴に伴う引きこもり状態。独語。精神病症状が見られ統合失調症圏の疾患が疑われます。幻覚妄想にはリスペリドンです。

 

 

110E43

20歳の女性。声が出なくなったことを主訴に友人とともに来院した。今朝、いつもどおりに大学に行ったが、1限目の講義が終了したころから声がかすれるようになり、1時間後には全く声が出なくなった。友人とともに保健管理室で相談したところ、医療機関へ行くことを勧められたため受診した。

1年前から部活動での人間関係のトラブルを契機として、不安感や情動の不安定性が出現し治療を受けていた。受診時、筆談は可能で理解力は保たれ、意識は清明と考えられた。発声できないこと以外に神経学的所見に異常を認めない。血液生化学所見、脳波および頭部CTで異常を認めない。

この患者にみられるのはどれか。

a. 解離

b. 転換

c. 離人症

d. 被影響体験

e. させられ(作為)体験

 

→b。人間関係のストレスが身体症状(失声)に転換されています。

 

 

110F24

61歳の男性。意識障害のため家族に連れられて来院した。昨日、物が二重に見えると家族に話していたという。今日になり、歩行がふらつき、意識もおかしいと家族が気付き受診した。頭部外傷の既往はない。飲酒は日本酒3合/日を40年間。

意識レベルはJCSⅠ-3。血圧130/80mmHg。眼瞼結膜は軽度貧血様である。眼球運動は左方視にて右眼球の内転が不良で眼振もみられた。歩行不能である。

血液所見:赤血球245万、Hb. 9.6g/dL、Ht 29%、MCV 125.7fL、MCH 41.7pg、MCHC 33.2g/dL、白血球3,500、血小板14万。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン3.3g/dL、AST 47IU/L、ALT 17IU/L、LD 270IU/L(基準176~353)、γ-GTP 102IU/L(基準8~50)、クレアチニン0.7mg/dL、血糖90mg/dL、Na140mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 104mEq/L。CRP 0.1mg/dL。

診断のために再度確認すべきなのはどれか。

a. 喫煙の状況

b. 摂食の状況

c. 胆嚢摘出の手術歴

d. 甲状腺疾患の治療歴

e. 抗精神病薬の服薬の有無

 

→全然わかりませんでした笑。意識障害、眼球運動障害、運動失調からウェルニッケ脳症を疑い、ビタミン欠乏を調べるために摂食状況の確認をするようです。

 

 

110G54

12歳の男児。学校に行けないことを主訴に両親とともに来院した。 4月に中学校に入学したが、5月初めから朝、頭痛や腹痛を訴えて学校を休み始め、7月からは全く登校できなくなった。夜寝る前には「明日は学校に行く」と言って準備をする。両親が登校を促し付き添うと、校門までは行くものの校内に入ることはできない。外出はしないが家では趣味などをして過ごしている。近くの診療所を受診し身体的な検査を受けたが異常は認められず、診療所からの紹介もあって受診した。受診時、礼節は保たれ、応答も適切である。本人は「学校に行かなくてはいけないと思うが、行けない」と述べる。

現時点での対応として適切なのはどれか。

a. 転校を勧める。

b. 入院を勧める。

c. 抗不安薬を処方する。

d. 催眠療法を導入する。

e. 無理に登校させないよう親を指導する。

 

不登校。頭痛と腹痛は身体表現性障害?

a~dは対応として不適切で、正解は消去法でeですが、現実的には今後どう介入していくのがいいんでしょうね。Drって大変です。

 

 

110H31

29歳の女性。頭痛を主訴に来院した。

現病歴:1か月前から毎日午後3時ころになると頭が重くなり、肩から首にかけて固まってしまうような違和感を覚えるようになった。症状は次第に強くなり、3週前からは常に頭全体の鈍い痛みを自覚し始めた。市販の鎮痛薬を内服したが症状は改善せず、頭痛のために仕事の効率が悪くなり、何度か「集中力が足りない」と会社の上司に注意を受けた。上司の勧めで脳神経外科を受診し、頸部単純エックス線撮影と頭部MRIとを受けたが異常を認めなかった。2週前からは痛みとともに全身のだるさも出現し、家事も含めたすべてのことがおっくうになっている。また、症状のために夜なかなか眠りにつくことができず、一方、朝は時間どおりに起きることができなくなっている。この1週間のうち何度か歩行中に段差につまずくことがあった。頭を打った記憶はない。軽い吐き気があるが嘔吐はない。便通は1日1回で変化はない。

既往歴:特記すべきことはない。

生活歴:喫煙歴と飲酒歴とはない。夫と2人暮らし。仕事は事務職だが、半年前に部署が変わり、それまでの単純作業から判断の責任を問われる業務となり、恒常的に残業をするようになった。最終月経は10日前から6日前までで、妊娠の可能性はないという。

家族歴:特記すべきことはない。

現症:意識は清明。身長158cm、体重46kg。体温37.1℃。脈拍76/分、整。血圧96/48mmHg。呼吸数12/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。視力に異常を認めない。対光反射は正常である。顔面に浮腫を認めない。前額部および頬部に圧痛や叩打痛を認めない。う歯を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。神経学的所見に異常を認めない。

診断に最も有用な質問はどれか。

a. 「異常な光が見えることはありますか」

b. 「気持ちが落ち込むことはありますか」

c. 「髪の毛が異常に抜けることはありますか」

d. 「字を書くのが困難と感じることはありますか」

e. 「皮膚に赤いぶつぶつが出ることはありますか」

 

緊張性頭痛→集中力低下→倦怠感、意欲低下、入眠障害、起床困難、軽度の悪心で症状が出ています。半年前の部署異動により業務負担が増加していることが恐らくキーポイントです。抑うつ気分が前面に出ておらず、うつ病を疑うのは少し難しく感じました。元々あった症状が頭痛だとそちらに引っ張られてしまいますね。

aの閃輝暗点とbのうつ病で迷いました。c~eの脱毛、書字障害、発疹は何との引っかけでしょう?

正解はbです。

 

 

パート2

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