薬剤師の気ままブログ

精神科門前の管理薬剤師。主に勉強したことの備忘録(薬や病気)、たまに趣味などについてゆるめに書いていきます。

痛み止めとセットの胃薬たち

NSAIDs(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)は種々の疼痛改善や解熱に多く使用されています。解熱鎮痛作用はプロスタグランジンの合成阻害により発揮しますが、その副作用として消化管障害が生じるため、よく胃薬がセットとして処方されます。有名なのはロキムコ(ロキソニン+ムコスタ)ですが、それ以外にもパターンはあります。色んな胃薬があり、細かい薬理作用は異なりますが、基本的にはどれを選んでも一緒です。

たまにレアな胃薬がセットになっていることがあります。それに気づかずに同じような胃薬を重ねても別に良いのですが、薬理的には不要なので、重複に気がつけるようになりたいですね。

PPIH2ブロッカーが併用されることもありますが、今回は省きます。ムコスタ類似物質のまとめのような感じです。

 

 

王道

ムコスタ(レバミピド)

「ロキムコ」のムコスタPPIに重ねてちゃんと胃潰瘍などの治療に使われることもありますが、NSAIDsとセットでの処方が圧倒的に多い印象です。

用法用量は1回1錠を1日3回。この手の胃薬の用法用量はだいたい3錠分3です。余談ですが、胃潰瘍の治療の場合用法は朝、夕、就寝前になります。知っている人は少ないでしょうし、現実的にも適応によってわざわざ用法を使い分けることはないと思います。

薬理作用は、内因性プロスタグランジン増加、胃粘液量増加、フリーラジカル抑制、炎症性サイトカイン産生抑制など。

 

セルベックス(テプレノン)

セルベックスも多いです。剤型はカプセルなので、小粒な錠剤のムコスタの方が飲みやすいかもしれません。カプセルは消化管にくっつきやすいですからね。ムコスタと違って、胃潰瘍で用法が変わったりはしません。

薬理作用は、細胞レベルの糖蛋白質代謝を改善し、胃粘液の合成・分泌を正常化、粘膜の血流改善が挙げられています。

 

レアキャラ

ガスロン(イルソグラジンマレイン酸塩)

ガスロンも見たことがありますが、あまり見ないですね。見たことがあるのは整形で、セレコックスとの併用でした。用法用量が4mgを1~2回に分割なので、分2のセレコックスに合わせやすかったのかもしれませんね。

薬理作用は、胃粘膜内cAMPの増加作用、細胞間コミュニケーション活性化作用、胃粘膜表層上皮細胞の細胞間間隙開大や胃粘膜血流低下を抑制することにより細胞防御作用を示すとされています。

 

アルジオキサ

先発品はないようです。アルミニウムを含むので透析で禁忌。アルジオキサの「アル」の由来はアルミニウムのようですね。この、金属と名前を結びつける感じ、大学の何かの試験で使った気がします。

アルジオキサは消化管で加水分解され、アラントインと水酸化アルミニウムへ。薬理作用は制酸作用、抗ペプシン作用、胃粘膜損傷部位の付着による被覆作用、肉芽形成、結合組織の増生、粘膜再生、粘膜下血管の新生促進など。

 

アプレース(トロキシピド)

個人的には成分名とトピロリックが似ている印象があり、お薬手帳で見ると尿酸の薬だったかなーとなります。すぐ気がつきますが。どちらも使用頻度が低いせいですね。

薬理作用は、胃粘膜血流量増加作用、胃粘膜代謝賦活作用、ムコ多糖体増加による胃粘膜バリア増強、胃粘膜内プロスタグランジン量増加作用などが示されています。

 

キャベジンUコーワ(メチルメチオニンスルホニウムクロリド)

テレビコマーシャルの効果でOTCが有名なキャベジンは、実は医療用もあります。実務で見たことはほぼないです。お薬手帳で見て、医療用のキャベジンもあるんだなあと思って覚えました。

キャベジン」の由来は成分のメチルメチオニンスルホニウムがキャベツの中に存在するため。別名をビタミンUと呼ばれる。Uは潰瘍を意味するulcerから。

薬理作用は、胃粘液量増加、胃血流量増加等による潰瘍抑制作用が推定されています。

 

ソロン(ソファルコン)

ソロン以降は実務で見たことないし、大学の試験でも出てきたことはないです。レジュメでも見たことないかもですね。なので雑学もなく。申し訳ないですね。

薬理作用は、胃血流量増加作用、抗酸化作用、胃粘膜プロスタグランジン量増加作用、胃粘膜修復促進作用などが示されています。

 

ノイエル(セトラキサート)

薬理作用は、胃粘膜微小循環の改善、胃粘膜内プロスタグランジンE2、I2生合成増加作用、胃粘膜粘液の保持・合成促進作用などの細胞保護作用、ペプシノーゲンの活性化抑制・生成抑制、抗カリクレイン作用による胃液分泌の抑制など。珍しく攻撃因子の抑制作用も持つんですね。

 

ウルグート(ベネキサート塩酸塩 ベータデクス)

ウルグートは新卒の時の店舗にありましたが、触ったことはないです。ベータデクスで思い出すのは国家試験の過去問ですね(第98回 問211)。ベネキサート ベータデクスはシクロデキストリンの包接化合物です。グルコース6つでできた環がα、7つがβ、8つがγです。ウルグートは7つのグルコースの環の中にベネキサートを入れた薬ということです。

薬理作用は、胃粘膜血流量増加作用、胃粘膜内高分子糖蛋白質の生合成促進作用及び減少抑制作用、プロスタグランジンE2、I2増加作用など。

 

レアキャラ胃薬たちの良い勉強になりました。

 

参考文献

各製剤 添付文書、インタビューフォーム