薬剤師の気ままブログ

精神科門前の管理薬剤師。勉強したことの備忘録(薬や病気)やたまに趣味などについて気の向くままに書いていきます。

ピロリ菌の三次除菌

f:id:sigh56:20220306121854j:image

※処方はフィクションです

 

ピロリ菌の三次除菌ではSTFXが一般的に用いられる。治療についてはいくつかのRCTが報告されている。ガイドラインではPPI+AMPC+STFXとPPI+MNZ+STFXの2種のレジメンが推奨されているが、三次除菌結果について両者に差はないとされている。

 

文献3では下記3種のレジメンが検討されている。

  1. (LA)LPZ30mg1日4回+AMPC500mg1日4回を2週間投与
  2. (LAL)LPZ30mg1日2回+AMPC750mg1日2回+LVFX300mg1日2回を1週間投与
  3. (LAS) LPZ30mg1日2回+AMPC750mg1日2回+STFX100mg1日2回を1週間投与

ITT解析での除菌率はLASが70%、LAが54.3%、LALが43.1%で、LASが有意に高くもっとも効果的とされた。

 

文献4では下記4種のレジメンが検討されている。

  1. (RAS1)RPZ10mg1日2回or1日4回+AMPC500mg1日4回+STFX100mg1日2回を1週間投与
  2. (RAS2)RPZ10mg1日2回or1日4回+AMPC500mg1日4回+STFX100mg1日2回を2週間投与
  3. (RMS1)RPZ10mg1日2回or1日4回+MNZ250mg1日2回+STFX100mg1日2回を1週間投与
  4. (RMS2)RPZ10mg1日2回or1日4回+MNZ250mg1日2回+STFX100mg1日2回を2週間投与

除菌率(ITT、PP)はRAS1で84.1%、86.4%、RAS2で88.9% 、90.9%、RMS1で90.9%、90.9%、RMS2で87.2%、91.1%。各レジメン間で統計的な有意差はなかったが、RAS2、RMS1、RMS2で除菌率が90%を超えていた。

 

また、STFX耐性の三次除菌や四次除菌にはリファブチン(RBT)が用いられる。

文献5では下記2種のレジメンが検討されている。

  1. (A)LPZ30mg1日2回+AMPC1000mg1日3回+RBT150mg1日2回を1週間投与
  2. (B)LPZ60mg1日2回+AMPC1000mg1日3回+RBT150mg1日2回を1週間投与

除菌率(ITT、PP)はA群で78.1%、80.6%、B群で96.3%、100%。副作用も軽度で忍容性も良好。RBT+高用量PPIは通常量PPIでの治療よりも効果的とされた。

 

ピロリ菌の除菌が保険治療で行えるのは二次除菌まで。三次から先の治療は自費となります。

 

PPIプロトンポンプインヒビター、AMPC:アモキシシリン、STFX:シタフロキサシン、MNZ:メトロニダゾール、LPZ:ランソプラゾール、LVFX:レボフロキサシン、RPZ:ラベプラゾール:リファブチン

ITT:Intention-to-treat、PP:per-protocol

 

※本記事は適応外の使用や不適切な処方を促すものではありません。

 

参考文献

  1. 日本消化器病学会 消化性潰瘍診療ガイドライン2020
  2. 日本ヘリコバクター学会 H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2016改訂版
  3. Multi-center randomized controlled study to establish the standard third-line regimen for Helicobacter pylori eradication in Japan(J Gastroenterol. 2013 Oct;48(10):1128-35.
    doi: 10.1007/s00535-012-0731-8. Epub 2013 Jan 11. PMID: 23307042)
  4. Sitafloxacin-based third-line rescue regimens for Helicobacter pylori infection in Japan(J Gastroenterol Hepatol. 2014 Mar;29(3):487-93.doi: 10.1111/jgh.12442. PMID: 24224808)
  5. Rifabutin-based high-dose proton-pump inhibitor and amoxicillin triple regimen as the rescue treatment for Helicobacter pylori(Helicobacter. 2014 Dec;19(6):455-61.doi: 10.1111/hel.12147. Epub 2014 Sep 18. PMID: 25231089)