薬剤師の気ままブログ

精神科門前の管理薬剤師。勉強したことの備忘録(薬や病気)やたまに趣味などについて気の向くままに書いていきます。

院外処方で血糖自己測定の穿刺針などは交付できるか?販売できるか?

下記の処方を受け付けました。

※処方はフィクションです



f:id:sigh56:20220303220218j:image

 

ワンタッチアクロランセットとは……?薬局では聞きなれない名前です(聞きなれている方もいるかもですが、精神科では無縁です…あまり知らないので今回勉強することにしました)が、調べてみると血糖自己測定器の針であることがわかりました。薬局で血糖自己測定器の周辺器具を保険給付することができるのでしょうか?というか、そもそも血糖測定のセンサーってなんでしたっけ?

 

そもそも血糖自己測定とは?

血糖自己測定

血糖自己測定(SMBG:Self Monitoring of Blood Glucose)とは、患者さんが血糖自己測定器を用いて、家庭などで自分で血糖値を測ること。食事の内容や運動、ストレス、体調などによる血糖値の変化を知ることでより良い血糖コントロールに活かすことができる。また低血糖やシックデイの対応にも有用。

血糖測定に必要なもの
  • 血糖測定器:文字通り血糖値を測定する器械の本体
  • センサー:血糖測定機にセットして使うチップのようなもの。血糖値を測定するための試薬が含まれている。ここに血をつけて測定する
  • 穿刺具:指先に針を刺すための器具
  • 穿刺針:指先から血を出すための針。穿刺具にセットして使う。使い捨て。
  • 消毒綿:体に穴をあけるにあたって感染症のリスクがあるので消毒する
  • 記録ノート:血糖値の推移を確認していくために記録を行う
  • 使用済み針回収ボックス:使用済みの針は専用の箱に入れてかかりつけの病院や薬局に返却する

今回の場合、血糖測定器はワンタッチベリオで穿刺具はワンタッチアクロ(おそらくどちらも病院で交付済み)、ワンタッチベリオセンサーがセンサー、ワンタッチアクロランセットが穿刺針、エレファワイパーEが消毒面に該当します。

血糖測定の手順
  1. 上記の道具を準備する
  2. 流水でよく手を洗う
  3. 測定器にセンサー、穿刺具に針をセット
  4. 穿刺部(指先または手のひら)を消毒
  5. 穿刺し、血液をセンサーに吸い取る
  6. 結果を記録し針を回収ボックスに捨てて器具を片付ける

 

処方箋で血糖測定器具を保険給付できるか

結論から言うと、院外処方せんで取り扱うものではないようです。薬局で交付する場合は保険請求はせずに医療機器の販売をすることになります。

販売する場合

今回の場合それぞれの区分は下記となる。

血糖測定器は高度管理医療機器販売業の許可が必要だが、その他は薬局で販売することが可能。薬局は特段の申し出がされている場合を除き、管理医療機器販売業の届出をしているとみなされている。

今回血糖測定器と穿刺具は処方されていないので、記載の医療材料は全て販売することができる。

販売記録について
  • 高度管理医療機器:品名、数量、販売した年月日、販売された者の氏名及び住所を書面に記載し3年間(特定保守管理医療機器の場合は15年間)保存(義務)(薬機法施行規則第百七十三条第2項、第3項)
  • 管理医療機器、一般医療機器:譲受、譲渡に関する記録を作成し保存(努力義務)(薬機法施行規則第百七十三条第4項)
  • 薬局医薬品:品名、数量、販売又は授与の日時、販売・情報提供した薬剤師の氏名、購入者が情報の提供の内容を理解したことの確認の結果を書面に記載し2年間保存(義務)(薬機法施行規則第14条第3項、第4項)
  • 第3類医薬品:品名、数量、販売又は授与の日時、販売・情報提供した薬剤師・登録販売者の氏名を書面に記載し保存(努力義務)(薬機法施行規則第14条第5項)

 

そもそも今回のケースで販売するか?

糖尿病治療中の患者に高額な医療機器を販売するのが妥当か?といわれると、結論はNoです。診療報酬にはあまり詳しくないですが、病院で算定できる保険点数に「血糖自己測定器加算」というものがあるようです。血糖測定に使用する医療材料の費用もその点数に含まれているようなので、そもそも処方箋に記載されていること自体が誤りの可能性があります。経験的には加算は算定されていることがほとんどだと思うので、病院に問い合わせをして経緯を確認するのが妥当でしょうね。

 

参考

国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター 血糖自己測定について

血糖自己測定について | 糖尿病情報センター

ワンタッチアクロ 各機器添付文書

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則