薬剤師の気ままブログ

精神科門前の管理薬剤師。勉強したことの備忘録(薬や病気)やたまに趣味などについて気の向くままに書いていきます。

フルボキサミンのCOVID-19への有効性:TOGETHER試験(論文を読む)

面白そうな論文があったので読みます。

 

フルボキサミン(FVX)のCOVID-19への有効性を検討したプラセボ対照のランダム化比較試験。対象は重症化リスクの高いSARS-CoV-2陽性のブラジル人成人。

N=1497。フルボキサミン投与群(1回100mgを1日常2回10日間)741人、プラセボ群756人へ無作為に割り付け。平均年齢は50歳(18殻~102歳)。58%が女性。

重症化はフルボキサミンで少なかった(FVX:79/741 [11%]  vs プラセボ:119/756 [16%]、相対リスク0.68)。死亡はintention-to-treatではフルボキサミンで17、プラセボで25だった(オッズ比0.68)。per-protocolではフルボキサミン1、プラセボ12だった(オッズ比0.09)。有害事象は両群で有意な差はなかった。

フルボキサミンのCOVID-19に対する詳細な作用機序は不明だが、

  1. σ1受容体刺激作用を介した抗炎症作用(σ1受容体はサイトカイン調節などに関わる小胞体シャペロン膜タンパク質)
  2. 血小板の活性化を防ぎ血栓症を予防
  3. 血中メラトニン濃度の上昇

が推定される。

 

現在日本においてフルボキサミンの有効性は検証中です。副作用も少ないですし、今後軽症への治療の選択肢となれば良いですね。

(フルボキサミンは今でも品薄なので、精神科的にはエビデンスが構築されてしまうと困るのですが…。)

 

フルボキサミンのCOVID-19への使用は適応外であり、エビデンスも不足しているため使用は勧められません。本記事は使用を推奨するものではありません。

 

参考文献、引用

Effect of early treatment with fluvoxamine on risk of emergency care and hospitalisation among patients with COVID-19: the TOGETHER randomised, platform clinical trial(Lancet Glob Health. 2022 Jan;10(1):e42-e51.doi:10.1016/S2214-109X(21)00448-4. Epub 2021 Oct 28.PMID: 34717820)