薬剤師の気ままブログ

精神科門前の管理薬剤師。勉強したことの備忘録(薬や病気)やたまに趣味などについて気の向くままに書いていきます。

神田橋処方

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九州の精神科医である神田橋條治先生が発見した処方で、桂枝加芍薬湯と四物湯の合方。心的外傷後ストレス障害PTSD)などに伴うフラッシュバックに効果があるとされている。だいたい10日くらいで効果判定ができて、脳の疲れが取れてフラッシュバックが減る、とのこと。

 

フラッシュバックは何かあると症状がわっと出てきて、出てくると脳が混乱する。出てくる、混乱するを繰り返すとだんだん脳が疲れてくる。その、フラッシュバックでくたびれた脳に漢方の補剤を使ったらどうだろうか?というところから生み出された処方。薬理的な解説はされていないが、小柴胡湯+桂枝加芍薬湯(相見処方)でてんかんの治療を行うことできるのがヒントと仰っている。

 

当初は十全大補湯+桂枝加芍薬湯だったが、構成生薬が多いので不要なものを省けないか?となり四物湯+桂枝加芍薬湯へ。神田橋先生的には脳には人参が合わないらしく、逆に地黄は神経系全体の衰えに効果があるようだ?とのことで、地黄を主剤とする四物湯へ変更となったようです。

 

地黄による消化器症状の副作用や味の問題で服用が難しい場合は、四物湯を十全大補湯へ変更することができる。また、桂枝加芍薬湯が飲みにくい時は小建中湯もしくは桂枝加竜骨牡蛎湯へ代替変更することができる。小建中湯は桂枝加芍薬湯に膠飴(麦芽糖)を足したもの。生薬含量を考えると桂枝加芍薬湯の倍量投与する必要がある。

 

各漢方の構成生薬の比較(ツムラ)

四物湯(7.5g中)

ジオウ3.0g、シャクヤク3.0g、センキュウ3.0g、トウキ3.0g

十全大補湯(7.5g)

ジオウ3.0g、シャクヤク3.0g、センキュウ3.0g、トウキ3.0g、ソウジュツ3.0g、ニンジン3.0g、ブクリョウ3.0g、カンゾウ1.5g、オウギ3.0g、ケイヒ3.0g

桂枝加芍薬湯(7.5g中)

シャクヤク6.0g、カンゾウ2.0g、ケイヒ4.0g、ショウキョウ1.0g、タイソウ4.0g

小建中湯(15g中)

シャクヤク6.0g、カンゾウ2.0g、ケイヒ4.0g、ショウキョウ1.0g、タイソウ4.0g、コウイ10.0g

桂枝加竜骨牡蛎湯(7.5g中)

シャクヤク4.0gカンゾウ2.0g、ケイヒ4.0g、ショウキョウ1.5g、タイソウ4.0g、ボレイ3.0g、リュウコツ3.0g

 

全然EBM的ではないが、処方を発見した先生のお話。