薬剤師の気ままブログ

精神科門前の管理薬剤師。勉強したことの備忘録(薬や病気)やたまに趣味などについて気の向くままに書いていきます。

ケロイド・肥厚性瘢痕

ケロイド

→真性ケロイド、肥厚性瘢痕に区別される。いずれも治療には抵抗性。にきびやピアスの穴などわずかな外傷でも生じる。関節周囲での拘縮、可動域制限、機能障害、疼痛、掻痒などをもたらす。

 

真性ケロイド

境界明瞭な扁平隆起性~半球状隆起で、鮮紅~紅褐~褐色で、徐々に側方に進行するとともに、中央部はしばしば退色扁平化し、餅を引き延ばしたような像。はじめの外傷部位の範囲を超えて大きくなり、押さえても痛くない(圧痛はない)が横から強くつまむと痛む(側圧痛)。

好発部位:下床に軟骨・骨のある部位にできやすく、前胸、顔面、上腕、背部、恥骨部に多い。

疫学:30歳未満に生じやすく男女差なし。妊娠は増悪因子。黒人、黄色人種に発生しやすく、白人に発生しにくい。同一人種でも皮膚の色素量の多い人に発生しやすい。遺伝素因あり。

予後:増殖傾向が強く治療に抵抗性。少なくとも数年治療が必要。萎縮性瘢痕に導くことが治療の目標。

 

肥厚性瘢痕

外傷部位を超えて周囲に拡大しない。側圧痛はないが、痒みは認められる。真性ケロイドに比ると隆起・紅色調は少ない。

好発部位:傷を受けた部位に発生するので身体のいずれにもできる。

疫学:男女差、後発年齢なし。遺伝素因なし。高血圧症でできやすく、神経障害部位にはできにくい。

 

治療

拘縮を伴う場合:拘縮を解除するため手術療法

拘縮を伴わない場合:外用療法(ステロイド軟膏・クリームの単純塗布、密封療法、テープ剤)、創傷被覆剤貼付(シリコーンゲルシート:保険適応外)、圧迫固定療法(レストン)、内服療法(リザベン)。

難治例:上記(拘縮を伴わない場合)にステロイド局所注射療法、冷凍療法、手術療法、放射線療法を追加

 

処方例(真性ケロイド)

ラニラストカプセル100mg 3C 分3 毎食後

処置:トリアムシノロンアセトニド(ケナコルト-A)局所皮内注射 2週に1回

 

・トラニラストの内服

ケロイドの増大、症状の改善、術後の再発予防に推奨(グレードBorC1)

線維芽細胞のTGF-βの遊離を抑制しコラーゲン産生を抑制、好中球の遊離を抑制する。有効性は約60%程度で、有効・無効どちらの場合もある。

 

ステロイド

最も効果が期待できるのは皮内への局所注射。外用・貼付薬は吸収率が低い。貼付薬で短期での改善は困難だが、適切な使用でケロイド症状の改善が期待できる(グレードBorC1)

ステロイド局所注射によるケロイド改善度は約70%以上。欧米では外科的切除と注射の併用が一般的だが、日本では少数の報告のみ。欧米では、ケナコルトは1回10~40mg記載されているが、日本では10mgまで。添付文書は週1回と記載されているが、2週間以上あけるのが望ましい。

 

 

参考文献

日本皮膚科学会 皮膚科Q&A

日本形成外科学会 形成外科診療ガイドライン 急性創傷/瘢痕ケロイド