薬剤師の気ままブログ

精神科門前の管理薬剤師。勉強したことの備忘録(薬や病気)やたまに趣味などについて気の向くままに書いていきます。

精神科

マイスリー(ゾルピデム)についてのまとめ

特徴 経験的に 特徴 マイスリー(Myslee)…My Sleepから Z-drugと呼ばれる非ベンゾジアゼピン系 一般的にはふらつき、転倒リスクが低いとされる(が、実際はZ-drugも転倒リスクを増加させる2) Tmax:1時間(30分~1時間) T1/2:2時間(1~3時間) 用量:高齢者は5m…

アトモキセチンの分1投与と分2投与の安全性、忍容性の比較

今回の論文(詳録のみ) Safety and tolerability of once versus twice daily atomoxetine in adults with ADHD(Ann Clin Psychiatry. 2006 Apr-Jun;18(2):107-13. PMID: 16754416) 試験デザイン:二重盲検RCT P:218人の成人ADHD I:アトモキセチン80mg1日1…

超低用量ラメルテオンの早め内服は遅延睡眠覚醒相障害に有効

今回読んだ論文(詳録のみ) Ultra-low-dose early night ramelteon administration for the treatment of delayed sleep-wake phase disorder: case reports with a pharmacological review(J Clin Sleep Med. 2022 Aug 5.doi: 10.5664/jcsm.10188. PMID: 359…

薬剤師国家試験第104回 問296-297 解説

66歳女性。忙しい夫の会社を手伝っている。遠方に住む共働きの息子夫婦に半年ほど前に子供ができ、世話を頼まれたので、忙しい中、自宅と息子夫婦の家の行き来を繰り返している。2〜3週間前より、気分が優れず、食欲がなくなり、眠りにつくに…

ゾルピデム、ゾピクロン、トリアゾラムが睡眠随伴症状発現時に禁忌に

超短時間作用型のベンゾジアゼピンの副作用では一過性前向性健忘や夢遊症状などの睡眠随伴症状が有名です。それらは今まで添付文書上「警告」として注意喚起がされてきましたが、今後は禁忌となるようです。 なぜこのタイミングかというと、米国で非ベンゾジ…

ルネスタ(エスゾピクロン)についてのまとめ

特徴 経験的に(エビデンス低) 特徴 Z-drugと呼ばれる非ベンゾジアゼピン系 一般的にはふらつき、転倒リスクが低いとされる(が、実際はZ-drugも転倒リスクを増加させる2) ラセミ体のゾピクロン(アモバン)から薬理活性のないR体を取り除いた製剤 Tmax:1時間(3…

強迫性障害(OCD:Obsessive-compulsive disorder)についてのまとめ

随時アップデートしつつ強迫性障害についてまとめていきます。 疫学・病態 症状 治療 処方例 疫学・病態 生涯有病率は2%前後 平均発症年齢は20歳前後だが幅広い 男女比はほぼ同等 治療抵抗性が比較的多い セロトニン調節異常が原因で葛藤や衝動のコントロー…

フルメジン糖衣錠(1)が出荷停止に

2022年5月にフルメジン糖衣錠(1)の出荷停止が発表されました。在庫消尽予定は6月下旬。理由は次回の製品入荷が遅延するためと。入荷が遅延するから停止…?やや筋が通っていない感じがします。0.5mgと0.25mgの流通は継続されますが、日本全国の医療機関が買い…

パキシルCR錠6.25mgのアルミピロー開封後の使用期限

パキシルCR錠6.25mgのアルミ包装には「アルミ包装開封後は6ヶ月以内にご使用ください」という文言が記載されています。添付文書には、開封後は湿気を避けて保管するようにとの記載のみ。根拠はインタビューフォームのようで、安定性試験の結果により開封後の…

精神科領域の医師国家試験を解いて典型症例を学ぶ②

パート2です。 パート1はここです。 sigh56.hatenablog.com 110I52 110I68 110I69 111D39 111D43 111D54 110I52 62歳の男性。発熱を主訴に来院した。統合失調症のため30歳ころから精神科病院に入退院を繰り返し、ハロペリドール、ゾテピン及びニトラゼパムを…

精神科領域の医師国家試験を解いて典型症例を学ぶ

興味が湧いたので医師国家試験を解いてみることにします。薬剤師は精神科の症例を見ることがあまりないので、新鮮で良い勉強になりそうです。 あくまで薬剤師が興味本位で解いてみるだけなので、医学生の方が参考にするのは全くお勧めしません。 110A42 110D…

精神障害の尺度(現実検討能力、神経症水準、境界例水準、精神病水準)について

精神症状に対してのその診断に関わらず、精神障害の尺度に「現実検討能力」というものがあります。現実検討能力とは自分の置かれた状況を客観的に正しく認識する能力のこと。現実検討が損なわれた場合、他人と共通の感覚を分かち合うことが難しくなり、日常…

ベルソムラ(スボレキサント)はおねしょを改善する

小児へのスボレキサントの使用について調べている中で、スボレキサントで難治性の夜尿症が改善した症例報告を発見しました。 夜尿症とは 睡眠中に不随意に尿を漏らすもの。細かい定義はDSM-5、ICD-10など複数あるようです。小児の小学校入学時の有病率は10%…

小児へのベルソムラ(スボレキサント)の使用

子どもは外でたくさん遊んで、帰ってきたらぐっすり寝る、というイメージはもはや過去のものとなりつつあります。スマホやゲームに費やす時間が多くなり、生活のリズムが乱れ、小児でも不眠に悩まされることは少なくありません。時代の流れかもしれませんね…

ピーゼットシー(ペルフェナジン)の特徴など

ピーゼットシー(ペルフェナジン)は第一世代の定型抗精神病薬で、フェノチアジン系に分類されます。「定型」とはドーパミンD2受容体遮断を主な作用とする薬剤のこと。フェノチアジン系には他にクロルプロマジン、レボメプロマジン、フルフェナジンなどがあり…

ロドピン(ゾテピン)は突然死が多い?

ロドピン(ゾテピン)は突然死が多い、という情報を医師から聞いたので調べてみることにしました。ロドピンは門前の医師が使わないし、他の病院からの転院でもほぼ見ないので、最近まったく触りません。扱った経験としては、以前他のところで小児への鎮静目的…

サイレース(フルニトラゼパム)の薬物動態や効果時間

ベンゾジアゼピンの効果時間は半減期を目安にすることが多いです。ほとんどは線形1-コンパートメントモデルに基づいた血中濃度推移を示しますが、中には2-コンパートメントモデルのものもあります。具体的にはサイレース(フルニトラゼパム)、エリミン(ニメタ…

その「イライラ」「不快」な感情はあなたのものではない

生きている中でのストレスの大半は人間関係によるものだと言われています。毎日自分の好きな人とだけ関わって生きていければ良いのですが、社会は自分の好きな人や能力の高い人ばかりで構成されるわけではありません。というか、むしろ自分の好きな人の方が…

狂犬病について。症例報告や薬物治療など。

ちらちらTwitterを見ていたところ、狂犬病の症例報告についてのTweetが目に入り、気になったので読んでみることにしました(文献1)。 8ヶ月前にフィリピンで左足首を犬に咬まれる。3か月前に来日。入院までの症状は両足首の疼痛、腰痛、幻覚、恐水、異常行動…

うつ病とうつ状態の違い

抗うつ薬の効能・効果は「うつ病・うつ状態」と記載されていることが多いですが、うつ病とうつ状態は違うものです。うつ病は病名ですが、うつ状態はただの状態もしくは症状ですね。 DSM-Ⅴの診断基準によるうつ病とは、直近2週間においてほぼ毎日、抑うつ気分…

ミルタザピン(レメロン、リフレックス)とミアンセリン(テトラミド)の違い

構造 薬理 使い方 構造 似ている……!というかほぼ同じです。ミルタザピンはミアンセリンの構造のうち1ヵ所のCがNになっただけ。ちなみにセチプチリン(テシプール)ともかなり似ています。 区分はNaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ…

ニュープロパッチ(ロチゴチン)とドパミン受容体アゴニストの副作用などについて

最近久しぶりにニュープロパッチを触る機会があったので、復習のためにニュープロパッチについてまとめます。 基本情報 構造式 作用機序 効能・効果 用法・用量 禁忌 使い方 貼付部位 入浴は 貼り替え忘れた時は MRI検査、AED使用時などははがす 調剤時 複数…

精神疾患の身体症状としての発熱について

ストレスなどの精神的要因に伴う発熱、微熱は外来でしばしば見受けられる。これらの体温上昇は心因性発熱(psychogenic fever)、ストレス性高体温(stressinduced hyperthermia:SIH)、機能性高体温症などと呼ばれる。 通常の発熱とSIHの機序の違い 発熱 病…

リーゼ、ルネスタ、デエビゴを使ってみた感想

リーゼ(クロチアゼパム) 5mgで使用したことがあります。弱力価ですがちゃんと効いた感じはあります。なんとなく胸がもやもやとする感じ、嫌なことを考えすぎてしまう感じが薄くなって、辛さが和らぐ気がします。 私は眠気は出ませんが、眠前に使用するとリ…

何かを猛烈に批判したくなった時

TwitterなどのSNSを見ていると、無性に気に入らない人に出会うことがたまにあります。ただ単に好き嫌いの問題であったり、相手が倫理的に、または理論的に間違ったことを発信している場合などです。 Twitterは対面でのコミュニケーションではなく、また相手…

嘔吐恐怖症(Emetophobia: A fear of vomiting)

嘔吐恐怖症では嘔吐することに対する強い不安、恐怖感が生じ、過剰な心配が見られる。嘔吐への恐怖により強い苦痛が生じ、また特定の行動を回避することで食事がとれない、外出ができないなどの日常・社会生活の障害につながる。 恐怖状況には下記の3つが挙…

他人との距離を上手く保つ「対人関係の三重円」

私は結構人との距離感が近いタイプだと思います。なので後輩の指導をする時など、相性が良いと業務面の指導からちょっとしたメンタルケアまで行えるので良いのですが、相性が悪いとぶつかることも多いですね。 友達とも狭く深く関係性を築くタイプなので、距…

好きなことを増やす

心身ともに健康的に生きていくためには、嫌なことやストレスをある程度遠ざけていくことが必要だけど、お金を稼ぐために仕事をしなければいけないし、他人と関わらずに生きていくことは難しい。なのでストレスを0にして生きることは現実的には不可能。 スト…

アンチはどこにでもいる

ユダヤ教の教えに、「仮に10人の人がいるとすると、そのうち絶対に1人はあなたのことが嫌い、2人は親友になれる、残り7人はどちらでもない(多少省略)」というものがあるようです。 たしかに自分のことを考えてみても、積極的に仲良くしたい人、感情が揺さぶ…

神田橋処方

九州の精神科医である神田橋條治先生が発見した処方で、桂枝加芍薬湯と四物湯の合方。心的外傷後ストレス障害(PTSD)などに伴うフラッシュバックに効果があるとされている。だいたい10日くらいで効果判定ができて、脳の疲れが取れてフラッシュバックが減る…