薬剤師の気ままブログ

精神科門前の管理薬剤師。勉強したことの備忘録(薬や病気)やたまに趣味などについて気の向くままに書いていきます。

ユリーフ(シロドシン)の鼻づまり

泌尿器科の医師が気にするユリーフの副作用に鼻づまり(鼻閉)があるようです。花粉症のシーズンに初回投与を行うと鼻づまりが悪化してクレームになることがあるようで、花粉症の時期のユリーフ開始を避けるケースもあるとのこと。

鼻閉の機序としては鼻粘膜のα1A受容体の阻害が考えられています。トラマゾリンの作用の逆と考えると分かりやすいと思います。

添付文書の鼻閉の副作用の頻度は1~5%未満となっています。100人に1人~20人に1人くらいです。

以前トラゾドン開始後に鼻づまりの訴えがあったケースを経験したことがあります。これもα1遮断作用によるものだったのかもしれません。

 

また、同じくα1A受容体阻害作用に基づく副作用には口渴があります。唾液腺のα1A受容体の阻害による副作用のようです。添付文書の副作用頻度は5%以上となっており、鼻閉より頻度は高くなっています。

注射針のみの処方せんについて

インスリンは余っているから針だけ欲しいというケースがたまにあります。では針だけを処方せんで出せるのかというと、以下の通知により保険での院外処方はできません。自費なら可能です。

 

(9) 同一の患者に対して、同一診療日に、一部の薬剤を院内において投薬し、他の薬剤を院外処方箋により投薬することは、原則として認められない。

また、注射器、注射針又はその両者のみを処方箋により投与することは認められない。

引用:令和4年 医科診療報酬点数表 第2章 特掲診療料 第5部 投薬 第5節 処方箋料 F400 処方箋料 通知(9)

 

注射針と同じく注射器についてもそれのみで院外処方を行うことはできません。注射器とはカートリッジ製剤(ペンフィルやカート)の注入器やバイアル製剤のディスポシリンジのこと。

では現在よく使われているプレフィルド製剤はどうかというと、注射薬と注射器が一体となっているため、注射器のみとの判定にはならず、インスリンのみでの処方は可能のようです。

ただし、インスリンは「在宅自己注射指導」を受けて在宅で使用する薬剤ということになっており、算定は在宅医療の薬剤の区分となるため、インスリンのみの処方の場合、病院側は処方箋料を算定することはできません。

 

2022年9月25日改定

ロナセンテープについて

 

特徴

  • 2019年6月に承認された、抗精神病薬として世界初の経皮吸収型製剤
  • 用法・用量:胸部、腹部、背部いずれかに24時間ごとに貼付。最大80mgまで。
  • 禁忌:アドレナリン(アナフィラキシー以外)、アゾール系抗真菌薬、HIVプロテアーゼ阻害薬、コビシスタット
  • SE光線過敏症:皮膚光感作性試験で陽性。貼付時また貼付後1~2週間は直射日光を避ける
  • 貼付部位は光線過敏症を防ぐために衣類で隠れる部位となっている
  • 血中濃度の日内変動が少なく、初回通過効果を受けないのでCYP3A4阻害薬併用の影響を受けにくい
  • 服薬の抵抗感が低い剤型である反面、本人の同意無しでの貼付などの倫理面に注意が必要

 

その他

  • 錠剤との換算はテープ40mg=錠剤8mg 1)
  • アカシジアの発現率は錠剤に比べ約60%減(テープ10.4%、錠24.7%)
  • PANSS100(身体拘束が必要なレベル)への投与でも1週間で効果ありとの報告あり
  • 切って貼付不可。切って貼付した場合の臨床データがない、角ができて剥がれやすくなる、包装袋は品質保持の目的もある等の理由から。過酷試験(光)でアルミ袋と無包装で結果に差が出ている。ただしリザーバー型の製剤ではないため、製剤学的にはおそらく切っても問題はない
  • テープと皮膚の間に水が入るとはがれやすくなるため、貼り変えはできれば入浴時に。加温による薬物動態への影響はない
  • 皮膚症状の副作用は適用部位紅斑が22.0%、適用部位掻痒感が10.0%(比較 リバスタッチパッチ:適用部位紅斑37.7%、適用部位掻痒感36.6%)
  • 皮膚症状予防:貼付部位を毎回変える、直射日光を避ける、テープはゆっくりはがす、保湿など日常的な肌のケアを欠かさない

 

参考文献

  1. ロナセンテープ インタビューフォーム

ビバンセカプセル(リスデキサンフェタミンメシル酸塩)について

 

特徴

  • リシン+デキストロ+アンフェタミン→リスデキサンフェタミン(LDX)
  • プロドラッグであり、赤血球細胞質中のアミノペプチダーゼでL-リシンとd-アンフェタミン加水分解され薬効を示す 1)
  • リスデキサンフェタミン→d-アンフェタミンの変換が律速であり、徐々に起こるため、d-アンフェタミンの急激な血中濃度上昇を抑えることができる
  • ノルアドレナリン(NA)・ドパミン(DA)トランスポーターを阻害&シナプス小胞に取り込まれてNA、DAの遊離を促進→シナプス間隙のNA、DA濃度↑
  • 禁忌:本剤・交感神経刺激アミン(メタンフェタミンメチルフェニデートノルアドレナリン、アドレナリン、ドパミン等)の過敏症歴、重篤な心血管障害、甲状腺機能亢進、過度の不安・緊張・興奮性、運動性チック・Tourette症候群の既往歴・家族歴、薬物乱用の既往歴、閉塞隅角緑内障、褐色細胞腫、MAO阻害薬(セレギリン、ラサギリン、サフィナミド)投与中又は投与中止後2週間以内
  • 適応:小児期における注意欠陥/多動性障害(米ではAD/HD、Binge Eating Disorder )
  • 用法・用量:最大70mg/day。増量は1週間以上あけて20mgを超えない範囲で。
  • 副作用:食欲減退(79.1%)、不眠(45.3%)、体重減少(25.6%)、頭痛(18.0%)、悪心(11.0%)、頻脈(5%以上)、血圧上昇、動悸 (1~5%未満)、霧視(頻度不明)
  • 規制:覚醒剤原料
  • 分包不可(吸湿性)

 

薬物動態

 

流通管理

依存リスクがあるのでコンサータ、ビバンセいずれも流通管理が必要

  • 医療機関、医師、薬局、調剤責任者の登録制
  • 調剤の都度、身分証と患者カードを確認
  • 調剤の都度、ADHD適正流通管理システム上で処方医、医療機関が登録されているか、処方内容が医療機関登録と相違ないかを確認
  • 薬局間の譲受譲渡は不可(コンサータも)
  • 不要となった場合は医療機関又は薬局へ返却するよう患者へ指導が必要 3)

 

法規(覚醒剤原料)

  • 卸売販売業者からの譲り受け時に譲渡証・譲受証の交換が必要。2年間保存。(覚醒剤取締法第三十条の十)
  • 保管は薬局内の鍵のかけた場所に(覚醒剤取締法第三十条の十二)。麻薬と違い堅固な設備内との指定はない。覚醒剤と違い麻薬とは一緒に保管できない(麻薬及び向精神薬取締法第三十四条)。
  • 患者が不要となった覚せい剤原料は薬局で譲り受けできる(以前は譲り受け不可で廃棄の補助のみ可能だった)。譲り受けた場合は「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料譲受届出書」を速やかに知事に届出
  • 廃棄は「覚せい剤原料廃棄届出書」を知事(保健所)に届け出の後、覚せい剤監視員の立会いの下に行う
  • 調剤済みの覚せい剤原料を廃棄する場合は、廃棄した後「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料廃棄届出書」を廃棄後30日以内に届出
  • 帳簿作成義務あり(譲受、譲渡、廃棄時の品名、数量、年月日を記載。譲受時は製造番号も備考に。各種届出書を提出した場合はその届出日も備考に。)

 

コンサータとの比較

  • 分包はどちらも不可。ただしインヴェガ開封後90日間安定であることを考えるとコンサータは可かも 5)
  • 等価用量でのコンサータ(72mg)とビバンセ(70mg)ではビバンセの方がADHD-RS-IV 合計スコアを優位に改善させており、コンサータより効果が高い可能性がある 6)
  • 薬効の切れが比較的緩やかで夕方以降の反動が少ない(?)

 

参考文献

  1. Absorption of lisdexamfetamine dimesylate and its enzymatic conversion to d-amphetamine(Neuropsychiatr Dis Treat. 2010 Jun 24;6:317-27. PMID: 20628632)
  2. Lisdexamfetamine Dimesylate: Prodrug Delivery, Amphetamine Exposure and Duration of Efficacy(Clin Drug Investig. 2016 May;36(5):341-56. PMID: 27021968)
  3. ビバンセカプセル インタビューフォーム
  4. Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Acute Comparator Trials of Lisdexamfetamine and Extended-Release Methylphenidate in Adolescents With Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder(CNS Drugs. 2017 Nov;31(11):999-1014. PMID: 28980198)
  5. パリペリドン錠一包化後の放出特性と患者の評価(薬理と治療 Volume 44, Issue 1, 65 - 69 (2016))
  6. Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Acute Comparator Trials of Lisdexamfetamine and Extended-Release Methylphenidate in Adolescents With Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder(NS Drugs. 2017 Nov;31(11):999-1014. PMID: 28980198)

電子的保健医療情報活用加算が廃止に

マイナンバーカードの普及と保険証としての利用を進めるために2022年4月に「電子的保健医療情報活用加算」が新設されました。ですが8月10日の中央社会保険医療協議会・総会の結果、同加算は9月末で廃止となり、代わりに「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が10月から新設されることとなりました。

電子的保健医療情報活用加算では、マイナンバーカードでの保険証利用をした場合は月1回3点、従来の保険証を利用した場合は3ヶ月に1回1点を算定可能でした。国が推進するマイナンバーカードを利用した場合にインセンティブがないどころか、逆に経済的負担が大きくなる点が問題となっていました。かつてのお薬手帳に対する加算が思い出されます。今後はマイナンバーカードを利用した方が僅かですが自己負担が安くなり、この矛盾が是正されることとなります。

医療情報・システム基盤整備体制充実加算は1と2に分かれており、薬局の場合、1ではマイナンバーカードを利用しない場合に6ヶ月に1回3点を算定可、2ではマイナンバーカードを利用した場合に6ヶ月に1回1点が算定可能となります。

また、保険医療機関及び保険医療養担当規則保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則、高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準が改正され、医療機関と薬局でオンライン資格確認等システムの導入が原則義務化されます。施行は2023年4月1日です。

 

6ヶ月に1回、1点か3点ですか。feeはかなり渋いですよね。コロナ病床確保の件もそうですが、いきなり法律や規則に一筆ねじ込んだり罰則を設けたりして無理矢理やらせるの汚いですよね。こちら側の苦労もわかって欲しいものです。

ジクトルテープの枚数制限について

 

ジクトルテープとは

  • 2021年5月に発売された全身作用型のジクロフェナクの貼付薬
  • 適応:①各種がんにおける鎮痛②腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎(2022.6~)
  • 1日貼付枚数は①では3枚、②では2枚まで
  • 3枚貼付時の全身曝露量はジクロフェナク錠通常量と同程度(AUCにおけるジクトルテープ3枚貼付時の、ジクロフェナク錠100mgに対する相対的バイオアベイラビリティは約76%) 1)

 

枚数制限は

湿布の枚数制限については医科診療報酬点数表に記載されており、それによると「湿布薬」とは、「貼付剤のうち、薬効分類上の鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤(ただし、専ら皮膚疾患に用いるものを除く。)」とされています。2)

これに該当する薬効分類番号は「264」です。

ジクトルテープの薬効分類番号は「114」の解熱鎮痛消炎剤のため、湿布の枚数制限には該当しません。ただし一部地域では63枚を超える処方は査定対象となる可能性も?とのこと

似たような製剤のロコアテープの薬効分類番号は「264」なので、湿布薬として枚数制限に該当します。

 

参考文献

  1. ジクトルテープ75mg インタビューフォーム
  2. 令和04年医科診療報酬点数表 第2章 特掲診療料 第5部 投薬 通則

コンサータとビバンセの有効性の比較

読んだ論文

Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Acute Comparator Trials of Lisdexamfetamine and Extended-Release Methylphenidate in Adolescents With Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder(NS Drugs. 2017 Nov;31(11):999-1014. PMID: 28980198)

 

試験デザイン:二重盲検ランダム化比較試験

P:464人の13~17歳のADHD患者

I:リスデキサンフェタミン(LDX)を8週間投与(用量調節あり)

C:メチルフェニデート徐放錠(MPH)、プラセボ

O:ADHD-RS-IV 合計スコア

エンドポイントは真か代替か→代替?真とも取れる

解析方法:FAS

結果

用量はLDXが平均50.15 ± 12.501 mg/day、MPHが 44.47 ± 12.754 mg/day。LDX、MPHいずれもプラセボと比べADHD-RS-IV 合計スコアの有意な改善が見られた(p < 0.0001)。LDXはMPHよりもスコアを低下させていたが、両群間に有意差はなかった(p = 0.0717)。

 

P:549人の13~17歳のADHD患者

I:LDX 70mgを6週間投与(用量固定)

C:MPH 72mg、プラセボ

O:ADHD-RS-IV 合計スコア

エンドポイントは真か代替か→代替?真とも取れる

解析方法:FAS

結果

LDX、MPHいずれもプラセボと比べADHD-RS-IV 合計スコアの有意な改善が見られた(p < 0.0001)。LDXはMPHよりもスコアを有意に改善させていた(p = 0.0013)。

 

 

→元文献には比較のグラフもあります。

ビバンセはプロドラッグとはいえ活性体はアンフェタミンで、覚醒剤そのものを投与することとなります。最初はびっくりしましたが、論文を見る限りそこまで爆発的な効果はないようです。副作用もコンサータと比べて大差なさそうです。

文献的なADHD-RS-IVスコア改善の差は少しであっても、コンサータより効果があることは確かなようです。実際の使用感はどうなのでしょうか。