薬剤師の気ままブログ

精神科門前の管理薬剤師。勉強したことの備忘録(薬や病気)やたまに趣味などについて気の向くままに書いていきます。

アリピプラゾール錠1mgの後発品が販売開始に

2022年6月17日にアリピプラゾール錠1mg「サワイ」の薬価基準収載、販売開始が発表されました。製造販売承認は2022年2月15日に取得していたようですが、恥ずかしながら把握していませんでした。

当該薬品の発売について色々と思うところを書いていきます。

 

 

後発品変更率への影響

1mgの後発品は今まで存在していなかったため、先発品のエビリファイ1mgは後発医薬品の数量シェアの計算式に組み込まれていませんでした。

ですが今回新たにジェネリックが販売されることとなったため、エビリファイは「後発医薬品のある先発医薬品」へ区分が変更されることとなり、計算式に含まれることとなりました。

具体的には、下記計算式の後発医薬品のある先発医薬品の数量【2】に組み込まれる形となり、分母が増加します。

 

診療報酬における加算等の算定対象となる後発医薬品【3】÷(後発医薬品のある先発医薬品の数量【2】+診療報酬における加算等の算定対象となる後発医薬品【3】)

 

新しく発売された後発品の数量(分子)は発売日から計算に入りますが、その先発品が「後発医薬品のある先発医薬品」の区分となるのはその翌月からとなります。よってエビリファイの影響が出るのは2022年7月からとなります。

 

アリピプラゾールの1mgは統合失調症うつ状態の賦活にも用いられますが、やっぱりなんといっても小児への処方が多いです。

私の勤務地域では小児の保険調剤が無料となっています。自己負担がない場合の先発品の希望は体感的にかなり多いように思います。こどもへの医療費の補助は良いと思うのですが、「自分の支払いには関係ないから先発で」というケースも多く見られ、その負の側面も感じるところです。

ということで、エビリファイ1mgのジェネリックが発売されることにより後発品変更率は下がる可能性が高いです。経営的にはかなり痛いです。

 

安定供給できるのか?

上記の経営的な理由により、全国の病院と薬局がアリピプラゾール錠1mg「サワイ」を買い漁る事態が想定されます。

エビリファイとそのジェネリックは用途特許の関係で適応が異なるため後発品への変更を行いにくい薬ですが、なんと1mg「サワイ」は適応も同じとのこと。需要はかなり高いものと思われます。

小林化工の問題から始まり、今や先発品、後発品に関わらず、指定した薬が当たり前に手に入る時代ではなくなってしまいました。

アリピプラゾール1mgのジェネリックは今のところ沢井だけですが、1社で日本全国の需要をカバーできるのでしょうか。発売した途端に出荷調整とかしんどいことは避けていただきたい。昨今の医薬品の在庫管理は本当に負担が大きいんです。

 

なぜ沢井だけ先発品と適応が一緒?

エビリファイジェネリック、各社アリピプラゾールは適応の虫食い状態が続いていますが、なぜ沢井だけ適応が一致しているのでしょうか。

エビリファイの適応である「うつ病うつ状態」「小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性」については他社メーカーか特許無効(出願された発明が新規性、進歩性等に欠如しているにもかかわらず、誤って特許された場合、そのような特許を無効にすること)を請求していますが、その主張は退けられており、用途特許は保護されている状態です。

双極性障害における躁症状」については特許の一部無効の主張が認められたため、各社ジェネリックの適応は現在「統合失調症」「双極性障害における躁症状」となっています。

沢井が「うつ病うつ状態」「小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性」の効能を追加できている理由は不明ですが、1mgの販売が開始となった結果より、事前に大塚製薬からの許諾を得ているものと思われます。

いずれにせよ、現場としてはやや厄介な事態となっています。

精神科領域の医師国家試験を解いて典型症例を学ぶ

興味が湧いたので医師国家試験を解いてみることにします。薬剤師は精神科の症例を見ることがあまりないので、新鮮で良い勉強になりそうです。

あくまで薬剤師が興味本位で解いてみるだけなので、医学生の方が参考にするのは全くお勧めしません。

 

 

110A42

3歳の男児。言葉が出ないことを主訴に両親に連れられて来院した。運動発達に問題はなかったが、言葉が出てこなかった。診察室では、視線は合わず動き回り、体を前後に揺らし、回転することが多い。積み木を見つけて遊び始めると、集中して1列に並べ始め、親の呼びかけにも振り向かない。運動発達に遅れはなく、聴覚障害の所見は認めない。

この疾患について正しいのはどれか。

a. 偏食はまれである。

b. 言葉の理解は良い。

c. 両親の養育態度が原因である。

d. 症状が出そろうのは青年期である。

e. 自分の意思を伝達することに障害がある。

 

 

言葉が出ないのは運動発達の問題でないこと、呼びかけに反応しないのは聴覚の問題でないことが問題文で示されています。視線が合わない、呼びかけにも反応せずコミュニケーションの障害が見られます。体を揺らし、回転するのは常同行動?積み木は一般的には一列に並べて遊ぶものではなく、独特でこだわりが強い。これらからASD(自閉スペクトラム症)が疑われます。

ASDでは感覚の過敏性があり、偏食はまれではありません。原因は育て方ではなく、脳の異常とされています。正解はeでしょう。

 

 

110D15

抜毛症(抜毛癖)について正しいのはどれか。2つ選べ。

a. 抜毛は頭髪が最も多い。

b. 円形脱毛症に分類される。

c. 診断は視診で可能である。

d. 抗精神病薬が有効である。

e. 成人期発症例は予後良好である。

 

a、d(誤)→正解はa、cでした。

こういうタイプの疾患には抗精神病薬かなと思いましたが、国家試験的な正解ではなかったですね。第一選択は認知行動療法のようです。実際はSSRIクロミプラミンなどの抗うつ薬や、オランザピンなどの抗精神病薬が有効との報告はあるようです。手の届きやすい部位の毛を抜きやすいので頭髪に多く、まばらに抜くので円形にはならないとのこと。

 

 

110D44

23歳の男性。行動の異常を心配した家族に連れられて来院した。6か月前に大学を卒業し就職した。3か月前から遅刻が目立つようになり、休みがちとなった。1か月前からは、1日中自室に閉じこもるようになった。1週前から誰かと話しているような独り言がみられ、さらに「誰かに見張られている」「数人が自分の悪口を言い合っている」とおびえるようになった。夜間眠らず、部屋の中を動き回るようになったため家族に連れられて受診した。

意識は清明。神経学的所見に異常を認めない。血液生化学所見に異常を認めない。

治療薬として適切なのはどれか。

a. バルプロ酸

b. クロナゼパム

c. リスペリドン

d. カルバマゼピン

e. フルボキサミン

 

→注察妄想、幻聴に伴う引きこもり状態。独語。精神病症状が見られ統合失調症圏の疾患が疑われます。幻覚妄想にはリスペリドンです。

 

 

110E43

20歳の女性。声が出なくなったことを主訴に友人とともに来院した。今朝、いつもどおりに大学に行ったが、1限目の講義が終了したころから声がかすれるようになり、1時間後には全く声が出なくなった。友人とともに保健管理室で相談したところ、医療機関へ行くことを勧められたため受診した。

1年前から部活動での人間関係のトラブルを契機として、不安感や情動の不安定性が出現し治療を受けていた。受診時、筆談は可能で理解力は保たれ、意識は清明と考えられた。発声できないこと以外に神経学的所見に異常を認めない。血液生化学所見、脳波および頭部CTで異常を認めない。

この患者にみられるのはどれか。

a. 解離

b. 転換

c. 離人症

d. 被影響体験

e. させられ(作為)体験

 

→b。人間関係のストレスが身体症状(失声)に転換されています。

 

 

110F24

61歳の男性。意識障害のため家族に連れられて来院した。昨日、物が二重に見えると家族に話していたという。今日になり、歩行がふらつき、意識もおかしいと家族が気付き受診した。頭部外傷の既往はない。飲酒は日本酒3合/日を40年間。

意識レベルはJCSⅠ-3。血圧130/80mmHg。眼瞼結膜は軽度貧血様である。眼球運動は左方視にて右眼球の内転が不良で眼振もみられた。歩行不能である。

血液所見:赤血球245万、Hb. 9.6g/dL、Ht 29%、MCV 125.7fL、MCH 41.7pg、MCHC 33.2g/dL、白血球3,500、血小板14万。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン3.3g/dL、AST 47IU/L、ALT 17IU/L、LD 270IU/L(基準176~353)、γ-GTP 102IU/L(基準8~50)、クレアチニン0.7mg/dL、血糖90mg/dL、Na140mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 104mEq/L。CRP 0.1mg/dL。

診断のために再度確認すべきなのはどれか。

a. 喫煙の状況

b. 摂食の状況

c. 胆嚢摘出の手術歴

d. 甲状腺疾患の治療歴

e. 抗精神病薬の服薬の有無

 

→全然わかりませんでした笑。意識障害、眼球運動障害、運動失調からウェルニッケ脳症を疑い、ビタミン欠乏を調べるために摂食状況の確認をするようです。

 

 

110G54

12歳の男児。学校に行けないことを主訴に両親とともに来院した。 4月に中学校に入学したが、5月初めから朝、頭痛や腹痛を訴えて学校を休み始め、7月からは全く登校できなくなった。夜寝る前には「明日は学校に行く」と言って準備をする。両親が登校を促し付き添うと、校門までは行くものの校内に入ることはできない。外出はしないが家では趣味などをして過ごしている。近くの診療所を受診し身体的な検査を受けたが異常は認められず、診療所からの紹介もあって受診した。受診時、礼節は保たれ、応答も適切である。本人は「学校に行かなくてはいけないと思うが、行けない」と述べる。

現時点での対応として適切なのはどれか。

a. 転校を勧める。

b. 入院を勧める。

c. 抗不安薬を処方する。

d. 催眠療法を導入する。

e. 無理に登校させないよう親を指導する。

 

不登校。頭痛と腹痛は身体表現性障害?

a~dは対応として不適切で、正解は消去法でeですが、現実的には今後どう介入していくのがいいんでしょうね。Drって大変です。

 

 

110H31

29歳の女性。頭痛を主訴に来院した。

現病歴:1か月前から毎日午後3時ころになると頭が重くなり、肩から首にかけて固まってしまうような違和感を覚えるようになった。症状は次第に強くなり、3週前からは常に頭全体の鈍い痛みを自覚し始めた。市販の鎮痛薬を内服したが症状は改善せず、頭痛のために仕事の効率が悪くなり、何度か「集中力が足りない」と会社の上司に注意を受けた。上司の勧めで脳神経外科を受診し、頸部単純エックス線撮影と頭部MRIとを受けたが異常を認めなかった。2週前からは痛みとともに全身のだるさも出現し、家事も含めたすべてのことがおっくうになっている。また、症状のために夜なかなか眠りにつくことができず、一方、朝は時間どおりに起きることができなくなっている。この1週間のうち何度か歩行中に段差につまずくことがあった。頭を打った記憶はない。軽い吐き気があるが嘔吐はない。便通は1日1回で変化はない。

既往歴:特記すべきことはない。

生活歴:喫煙歴と飲酒歴とはない。夫と2人暮らし。仕事は事務職だが、半年前に部署が変わり、それまでの単純作業から判断の責任を問われる業務となり、恒常的に残業をするようになった。最終月経は10日前から6日前までで、妊娠の可能性はないという。

家族歴:特記すべきことはない。

現症:意識は清明。身長158cm、体重46kg。体温37.1℃。脈拍76/分、整。血圧96/48mmHg。呼吸数12/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。視力に異常を認めない。対光反射は正常である。顔面に浮腫を認めない。前額部および頬部に圧痛や叩打痛を認めない。う歯を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。神経学的所見に異常を認めない。

診断に最も有用な質問はどれか。

a. 「異常な光が見えることはありますか」

b. 「気持ちが落ち込むことはありますか」

c. 「髪の毛が異常に抜けることはありますか」

d. 「字を書くのが困難と感じることはありますか」

e. 「皮膚に赤いぶつぶつが出ることはありますか」

 

緊張性頭痛→集中力低下→倦怠感、意欲低下、入眠障害、起床困難、軽度の悪心で症状が出ています。半年前の部署異動により業務負担が増加していることが恐らくキーポイントです。抑うつ気分が前面に出ておらず、うつ病を疑うのは少し難しく感じました。元々あった症状が頭痛だとそちらに引っ張られてしまいますね。

aの閃輝暗点とbのうつ病で迷いました。c~eの脱毛、書字障害、発疹は何との引っかけでしょう?

正解はbです。

 

 

パート2

sigh56.hatenablog.com

 

薬剤師国家試験 第107回-問90 解説

問90 直近10年間の世界アンチドーピング規程において、禁止物質として指定されていない薬物はどれか。1つ選べ。

  1. アセタゾラミド
  2. エリスロポエチン
  3. メチルテストステロン
  4. カフェイン
  5. メチルフェニデート

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答 4

ドーピング規定においての禁止物質を細かく把握するのは難しいですが、これは必須問題レベルなので難易度は低いです。

1、2、3の選択肢は即座に切って、メチルフェニデートを知っていれば正解は4で楽勝。知らなければ4と5で迷って、確率の高い4を選ぶ問題です。

否定系の問題なので、指定されている薬を◯、指定されていない薬を✕と表現します。

 

  1. ◯ 利尿薬はドーピングとイメージが結び付きにくいですが、体重制限のある種目での急激な減量目的や、禁止物質を体外に排出させることでのドーピングの隠蔽目的で使用します。初見殺し的な選択肢ですが、模試などで一度は見たことがあるはずなのでわかる人が多いでしょう。
  2. ◯ エリスロポエチン投与により赤血球が増加し、組織への酸素の供給率が上がります。感覚的にも運動に関係ありそうなのが想像しやすいと思います。
  3. ◯ 男性ホルモン→筋肉増えるから駄目そう、というイメージでいいと思います。
  4. ✕ カフェインが禁止だとお茶もコーヒーも飲めなくなっちゃうから、そんなわけないよね、というイメージで良いと思います。問題を見た時はわかりやすい選択肢だなと思っていたんですが、実はカフェインは2003年まで禁止物質だったそうです(1)。今は禁止ではなく監視対象です。一般的な飲料にも気を付けなければいけない時代もあったということですね。詳しく勉強すると深い選択肢です。
  5. ◯ ドパミン分泌促進による覚醒作用を持つ薬です。感覚的に禁止なことがわかるでしょう。ただしメチルフェニデートは大学生ではあまり馴染みのない薬だと思うので、少し難易度は上がるかもしれませんね

 

参考文献

  1. 熊本県スポーツ協会 ドーピングQ&A(URL:http://www.kumamoto-sports.or.jp/ikagaku/doping_qanda.htm#:~:text=%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%AF%E3%80%812004%E5%B9%B4,%E3%81%A6%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%93%E3%82%8D%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82)

薬剤師国家試験 第107回-問89 解説

問89

疾病の一次予防に該当するのはどれか。1つ選べ。

  1. がん検診
  2. がん患者への緩和ケア
  3. うつ病患者に対する社会復帰支援
  4. 歩行機能低下患者に対する機能訓練
  5. 地域住民を対象とした健康教室

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答 5

難易度の低い問題です。大学の公衆衛生の試験でもよく見るような簡単な問題なので落とさないようにしましょう。

疾病の予防には一次、二次、三次があり。一次は一般的によく使われる意味での予防で、病気にならないようにするもの。二次は病気の早期発見。三次は再発防止とリハビリです。

  1. 検診は早期発見目的なので二次
  2. ちょっと難しいですが、QOLの低下や予後の改善という意味だと三次かな?一次、二次ではないことは確かです。
  3. 社会復帰はリハビリなので三次
  4. なってしまった病気の機能改善なのでリハビリの意味で三次
  5. 健康に対する知識を向上してもらう→病気にならないようにする、で一次予防です

薬剤師国家試験 第107回-問87 解説

問87

薬剤師が糖尿病患者を訪問薬剤管理指導のために訪れた際、猛暑の中でぐったりしていたため脱水を疑いアセスメントをした。その項目として、適切でないのはどれか。1つ選べ。

  1. 口渇の有無
  2. 脇の下の乾燥
  3. HbA1c
  4. 爪圧迫時の色調変化
  5. 脈拍

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答 3

日本は超高齢社会により在宅医療の受容が増加しています。またそれに伴い、従来調剤を基本とした業務を行ってきた薬剤師にも、より臨床的な能力が求められてきています。この2点の背景から作成された問題です。

この問題は消去法で解答を絞りこむのではなく、3番の正解を積極的に選んでいく方が簡単だと思います。

 

1 ◯

脱水→口渇(喉が渇く)は特に知識がなくても理解できるでしょう。脱水状態では口渇中枢が刺激されて水分摂取が促されます。ただし重度の脱水となると口内は乾燥していますが喉の乾きは逆に減ることがあります。

2 ◯

体内の水分量の減少に伴い発汗は減少します。舌や脇の下など、通常湿っている部位が渇いているかどうかは脱水の指標となります。

3 ✕(正答)

HbA1cは血糖値のように即時的な糖代謝を反映しません。この知識は薬局での服薬指導でもよく使います。「昨日食べすぎたから」または「朝ごはんを食べてきたから」、だから採血でのHbA1cが高かったと訴える患者さんが一定数いらっしゃるからです。HbA1cは過去1~2ヶ月程度の長期的な血糖コントロールを表します。これは国家試験的にだけでなく、薬剤師としても覚えておいた方がいいです。

赤血球の寿命は120日(4ヶ月)ですが、今存在している赤血球の中で3~4か月前に作られたものの割合は約10%なので、おおむね1~2ヶ月の値だろうということです。

4 ◯

指先の血管は細いため脱水の影響を受けやすい部位になります。親指の爪の先を押し、赤みが戻るのが遅ければ脱水が疑われます。

5 ◯

水分の損失により循環血液量が減り、血圧が低下します。心臓は抹消へ酸素を送るためにそれを補おうとして収縮を速めて頻脈になります。

頭痛へのぺリアクチン(シプロヘプタジン)の使用

※処方はフィクションです

 

ぺリアクチンの適応は皮膚症状やアレルギー症状ですが、この処方では呉茱萸湯が重ねられていることから、おそらく小児の片頭痛への処方と推測できます。

 

ガイドラインとしては、(1)では10歳以下で肥満が問題でない小児の片頭痛予防にはシプロヘプタジン2~4mgの就寝前投与が安全とされていますが、(2)ではエビデンスの確実性が低く弱い推奨とされています。

 

シプロヘプタジンの日本での効能、効果はそう痒などの皮膚症状や鼻炎などのアレルギー症状であり、これはH1受容体拮抗作用を利用したものです。シプロヘプタジンはH1受容体への作用以外にも抗コリン作用、セロトニン5-HT2A受容体拮抗作用を持ちます。片頭痛の予防効果は5-HT受容体拮抗作用によるものと言われています。(2)のガイドラインにおいても、シプロヘプタジンは5-HT受容体拮抗薬として紹介されています。

シプロヘプタジンの5-HT受容体拮抗作用は、胃切除の早期ダンピング症候群の症状改善や、カルチノイドでの腸の運動亢進の症状改善にも関わるとされています。

 

参考文献

  1. 慢性頭痛の診療ガイドライン2013
  2. 頭痛の診療ガイドライン2021
  3. Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of THERAPEUTICS twelfth edition

精神障害の尺度(現実検討能力、神経症水準、境界例水準、精神病水準)について

精神症状に対してのその診断に関わらず、精神障害の尺度に「現実検討能力」というものがあります。現実検討能力とは自分の置かれた状況を客観的に正しく認識する能力のこと。現実検討が損なわれた場合、他人と共通の感覚を分かち合うことが難しくなり、日常生活へ大きな支障を来します。医療者側の目線からすると、訴えについての理解ができない=了解不可能、というところだと思います。

 

精神障害はまた、重症度によって神経症水準、境界例水準、精神病水準の3つに分類されます。神経症水準が症状として最も軽く、境界例水準は中間、精神病水準が重症とされます。

 

神経症とは心因性(ストレスなど心理的な原因による)の精神障害のことで、不安障害、強迫性障害適応障害、身体表現性障害などが含まれ、比較的健康度は高いとされます。

難しいですが「神経症」=「神経症水準」ではありません。水準はあくまで重症度の尺度であり、診断とは関係ありません。「神経症水準」という言葉はあくまで健康度が高く軽症、という意味で用いられます。例えば神経症に含まれる強迫性障害でも、症状の悪化によりうつ病エピソード(精神病水準)を伴うこともあります。ただ、神経症では比較的に現実検討能力が保たれていると言われています。

 

境界例にはパーソナリティ障害などが含まれます。ストレスの少ない環境では落ち着いて過ごせていても、刺激の多い環境では妄想的(現実検討能力が低下)になり精神病のようになることもあります。

 

精神病とは内因性の精神障害のこと。ストレスなどの心理学的な問題が誘因となることもありますが、もともと患者が持っていた脆弱性が原因ではないかと考えられています。精神病にはうつ病、双極性感情障害(躁うつ病)、統合失調症などが含まれます。精神病では現実検討能力が重篤に侵され、自己治癒可能性が低いとされています。

 

私は今まで精神病症状=幻覚妄想のようなイメージを持っていたので、うつ病や双極性感情障害が精神病と言われると若干の違和感があります。

ただ双極性障害躁状態ではとんでもない額の買い物をしたり、そんな中でも「私は病気ではない!」と著しく病識が欠如したりすることもあり、それを見ると現実検討は損なわれているなと思います。自己を客観的に見ることができていません。その状態は医療者側から見るとほぼ了解不可能なので、確かに精神病水準だと思います。

統合失調症での現実検討の障害についてはわりと理解しやすいと思います。

例として「コンビニで買った肉まんの味が変(幻味)→店員が毒を入れたに違いない!(被毒妄想、被害妄想)」を挙げます。肉まんの味が変なのはさておき、そこから「店員が毒を入れた」へ飛躍するのは話のつじつまが合っていません。現実的にも見ず知らずの相手に毒を入れた肉まんを売る、という可能性は0に等しいでしょう。客観性が失われています。

 

ちなみにですが、統合失調症の方は薬局の問診票の主訴に何も書かないか、「不安」と書いてくることが多い気がします。薬局はオーブンスペースですし、話したくない気持ちは十分理解できます。話していただいても、相手の事をきちんと理解できるほどの時間も取れないことが多いですしね。

「不安」という主訴は嘘ではないのだと思います。ただ我々が思う不安とは質が異なり、漠然とした不安とか、誰かに狙われている、危害を加えられるんじゃないかという不安など、精神病性のものなのだろうと思います。

不安を訴える患者さんにメジャー(抗精神病薬)が出ている時、「不安にはSSRIベンゾジアゼピンじゃないの?Drが間違ってる?」という短絡的な思考にならず、「何かあるんだろうな」と察せるような薬剤師になりたいものです。